スゥィーツを食べたり、焼肉を食べたりして感想を言う、グルメリポーターも、アナウンサーの仕事です。

食べ物のレポートをするということで、「食レポ(食リポ)」とも言われます。


食レポの基本は、「おいしい」と言ってはいけないということです。

どんな食べ物でも、「おいしい」に決まっているからです。

感想が「おいしい」でいいのであれば、わざわざ経費をかけて、アナウンサーを現地に向かわせるのは、意味がないからです。

おいしい料理を食べても、おいしいと言ってはいけない。

「おいしいと言ってはいけない」という縛りの中で、どういう表現で伝えるかが、グルメリポーターの仕事です。

「やわらかいですね」と冷静に伝えたら、おいしいことは伝わりません。

「やっ、やわらか〜い!」と顔の表情もつけて伝えることで、おいしいことは伝わります。


当然ですが、「まずいですね」は絶対に言ってはいけません。

その料理を作って生計を立てているお店もあれば、食材の生産農家の方もいらっしゃるからです。

では、まずいときには、どう言えばいいのか。

「好きな人にはたまらない味ですね」というのが正解です。

その料理が存在する以上、この世にひとりは、その味が好きだという人がいるからです。

この表現であれば、誰も傷つけることはありません。

レポーターは、聞いている人をひとりも傷つけないように伝える仕事なのです。