「元局アナ」はレアなので、価値があります。

もちろん、局アナを辞めた後にフリーアナウンサーになってもいいのですが、他の道に転身するというのも、アリです。

私の場合は、アナウンサーから作家に転身しました。

「元アナウンサーの作家」という肩書きは、私しか聞いたことがありません。

女子アナウンサーは、毎年100人誕生しますが、男子アナウンサーは、年間50人以下しか誕生しません。

なので、「アナウンサー出身の◯◯」というだけで、注目されやすいのです。

女子アナウンサー出身の絵本作家、女子アナウンサー出身の市議会議員、女子アナウンサー出身のプロレスラーと言われたら、多くの人の関心を集めることができます。

政治家の場合は、アナウンサーとして無料で顔を売ってからの転身なので、票を集める時には、有利に働きます。


私は、アナウンサー出身の作家としてデビューしました。

「たとえば、アナウンサーの場合は」という具体例が使えたので、新しいと思われたのです。

普通の職業からの転身と、アナウンサーからの転身であれば、アナウンサーからの転身の方が、レアなので楽です。


私は新卒の時に、損害保険会社とテレビ局のアナウンサーと、2社から内定をいただきました。

損害保険会社は、30歳で年収1000万円を超えると言われる、大手の会社でした。

従業員1万人の会社よりも、従業員150人の会社を、ノータイムで選びました。

なぜなら、損害保険会社に勤めた後にアナウンサーになるのは難しいが、逆はできると考えたからです。

もし、本当に損害保険会社に勤めたいという日が来たら、アナウンサーになった後でも可能です。

ですが、一般企業に勤めてから、テレビ局のアナウンサー試験を受けて合格するというのは、非常に難しいです。

「既卒でも可」として女子アナウンサーを募集するテレビ局もありますが、たいていは即戦力である経験者(局アナ経験者)が求められています。

新人を採用するのであれば、既卒ではなく、新卒で採用して、一から局の色に染め上げたいと考えるのが、テレビ局側の考えだからです。
 
「今は、さほどアナウンサーになりたいとは思っていない。一般企業に就職した後に、アナウンサーになりたいと思ったら、そのときに転職を考えよう」という大学3年生がたまにいるのですが、その考えは間違っています。

アナウンサーになりたいのであれば、新卒採用を目指す。

これが正解です。


新卒でアナウンサーになって、実際に働いてみた後に、「このまま局にい続けるべきか」「退社してフリーになるべきか」「まったく別に道に転身するか」を考えればいいのです。